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【自立訓練の日々 その8】点字の学習 [視覚障碍者としてのあれこれ]

こんばんは、gonanaです。
「自立訓練の日々」第8回です。前回(第7回)の記事は
https://gonana57.blog.so-net.ne.jp/2019-06-20
です。

今回は、点字の学習について書きたいと思います。
視覚障害者になる前の私は、街中などで点字の標示を見かけても、それを読み解く術もわからず、そもそもいくつも並んだ点の集まりが何を表しているのかさえ理解できませんでした。
そのため、障害者リハビリテーションセンターでの自立訓練の点字学習では、まずは点字についての基本中の基本の部分から教えていただくことになりました。
点字についての細かい話はまたの機会にしたいと思いますが、点字が縦3点、横2点の6点の組み合わせから成り立っていることをはじめ、点字を書く際の決まり事など、講師の方から教えていただくことはどれも初めてのことばかりで新鮮な知識になりました。

そして、いよいよ実際に点字を書き、読む訓練に入るわけですが、その前にもちろん五十音やアルファベット、記号や数字など、それぞれの文字などを表す点字を一つ一つ学ぶところから始まります。
点字の訓練では、まず五十音をあ行→か行→さ行→…と段階を追って書き方(点の打ち方)と読み方を練習していき、それと並行して習得済みの文字を使った単語の書き方や読み方の習得もしました。覚えた文字の数が少しずつ増えていくにつれ、単語の練習の文字数も2文字、3文字と多くなっていきました。
やがて五十音だけでなく濁点や半濁点、促音や拗音などの表し方、記号やアルファベット、数字を表す点字なども学習し、それらを使った単語を書いたり読んだりする練習もしていきました。
先ほど書いたとおり、点字は6つの点の凹凸の組み合わせで文字や記号などを表しますが、6つの点の組み合わせだけで63通りあり、さらに文章や単語の中で数字やアルファベットなどを表すことを示す記号との組み合わせも考えると、それらを一つ一つ覚えていくのには苦労しました。
目が見えていれば点の配列とそれがあらわす文字などとの対照表を作って覚えることもできますが、目が見えないとなると頭で覚えるしかありません。当時すでに40歳を過ぎ、若い頃と比べると記憶力も鈍りがちな年代となった私にとってこれは小さくはないハードルになりました。
それでも毎回の点字訓練で書ける(読める)点字が少しずつ増えていくのには、子供の頃に平仮名や片仮名、漢字などを覚えていったのとはまた違った達成感を覚えました。視覚障害者になっても、展示を覚えることをきっかけにできることが少しずつでも増えていくことは、やはりうれしいもので、その後のいろいろな訓練のモチベーションの一つにもなっていきました。

障害者リハビリテーションセンターでの点字訓練では、1人の講師と2~3人の訓練生が一緒に訓練を受ける形になることが多かったです。
点字を書く練習は、講師から出された課題の文字や単語を各自が点字用紙に打ち、それを講師に見てもらって間違いがあれば指摘を受け、もう一度同じ文字や単語を打ち直して再び講師に見てもらうという方法で進められました。
点字の読み方の練習ではいくつも点字で単語の打たれた点字用紙が訓練生に配られ、それを訓練生が順に一単語ずつ読んでいくという方法でした。
実際に点字を書いたり読んだりする訓練を受けていると、「書く」法はそれぞれの文字に対応した点字を覚えていけばどうにかミスも少なく打てるようになっていきましたが、「読む」方は隣り合った点字の別を指だけで読み取るのが難しいことも多く、正確かつスムーズに読むのには苦労しました。
しばらく点字を読む練習を続けていると指の感覚が鈍ってきて読み取りがうまくできなくなることもしばしばでした。そのため、訓練の途中には講師の先生と訓練生が軽い雑談を交わして小休止することも多く、学生時代以来久しぶりに頭を使う勉強をしている中でのよきブレイクタイムになっていました。

障害者リハビリテーションセンターでの自立訓練の修了とともに、点字の学習も終わりました。約9か月の訓練機関で、単語を書いたり読んだりすることはわずかながらできるようになりましたが、やはり点字を使いこなせるようになるには時間が足りなかったようで、やや中途半端な習得状況で訓練を終えることになってしまいました。その後も何らかの形で点字を学ぶ機会を見つけ、点字の練習を重ねていればもっと自由自在に点字の読み書きができるようになったはずで、もったいないことをしてしまったと後悔しています。
聞くところによると、近年では視覚障害者の世界でも活字離れならぬ「点字離れ」の傾向があるそうです。確かに近年視覚障害者でも画面読み取りソフトを組み込んだパソコンやスマホを自由自在に使いこなせるようになりつつあるし、録音図書などを利用すれば点字に翻訳しなくても本や雑誌を読むことができる時代でもあるので、点字を覚える必要性も薄くなってきているのだと思います。
しかし、せっかく点字の基礎を学ぶという経験ができたからには、今後どこかでしっかりと腰を据えて点字を学び直し、最終的には点字の文章を自由自在に読み書きできるようになりたいと思っています。

次回(第9回)では、画面読み上げソフト(スクリーンリーダー)を組み込んだパソコンの操作訓練について書きたいと思います。
タグ:点字
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