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テープ起こし [視覚障碍者としてのあれこれ]

こんばんは、gonanaです。
皆さんは「テープ起こし」という仕事をご存じでしょうか。
この「テープ起こし」とは、講演会・会議・座談会・対談・インタビューなどで収録された人の声を聞き取り、その内容を文章に起こして紙に筆記するかタイピングによりコンピュータに入力する(かつてはタイプライターによる入力も広く行われていました)作業です。

私は数年前まで、「テープ起こし」なる仕事があるということは何となく知ってはいたものの、具体的にそれがどのように行われているのかについてはほとんど知りませんでした。
しかし、約4年前に、そのテープ起こしの作業をわずかですが体験する機会がありました。
何度かこのブログでも書いている通り、私は視覚障害者となった後、国立障害者リハビリテーションセンターでの自立訓練を修了し、引き続きその後の再就職に向けた同じ敷地にある国立職業リハビリテーションセンターでの職業訓練を受けることにしました。
センターへの入所に当たっては「入所試験」というほどでもないのでしょうが、一応簡単な国語や数学のテストや作文、それに実技面での能力をみると思われる作業課題による選考が行われました。そして、私が受講しようとしていた視覚障害者向けのパソコン訓練のコースの作業課題が、テープ起こしだったのです。
私はこの時に初めて「テープ起こし」の方法を知ることになりました。
スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)を組み込んだパソコンの前に座り、講演会の内容を録音した音源を、再生・停止・早送り・巻き戻しといった操作をすべて足元に敷いたマットに埋め込まれたスイッチを足で操作することにより行う再生機器で聞きながら、パソコンで入力するというものでした。
私はそもそもこういった機器があることも知らなかったので、この時の一連の選考でいろいろとお世話になったセンターの職員の方から事前に再生機器の操作方法を教えていただいてから課題に臨みましたが、指でラジカセやコンポなどのボタンを操作するのとはわけが違い、どこのスイッチを踏めば目的の操作ができるのか目で確認できない私にとって、すべての操作を足を使って行わなければならないのは相当に難しく、なかなか思うように入力が進みません。
結局、制限時間までに入力し終えたのは、課題の音源の分量の6~7割くらい(課題文の時間や文字数がどれくらいだったかは忘れてしまいましたが)がやっとで、「テープ起こし」という仕事をスピードと正確さを両立しつつ行うことがいかに難しいかを身をもって知ることができました。そして、足元スイッチを巧みに使い、スピードと正確さをいずれも満足させることで記録を残すテープ起こしという仕事に敬意を抱けるようになりました。
結果的には、テープ起こしについては満足のいく成果は残せなかったものの、何とか職業リハビリテーションセンターへの入所はでき、そのおかげもあって今の会社に就職できた私がいます。

私が悪戦苦闘してしまったテープ起こしは、聴覚を生かせるという意味では視覚障害者にとって有利な面のある仕事と言えそうです。実際に、会議録などのテープ起こし業務を企業などから請け負っている福祉事業所があったり、「ブラインドライター」として企業を立ち上げてテープ起こし作業を請け負うビジネスを行っている人もいるようです。

近年では、会議録や講演録などの作成もAIにより行うことが多くなり、「テープ起こし」も遠からず「AIにとって代わられる職業」の一つになりそうな状況です。しかし、貴重な講演やインタビュー、重要な会議などの記録を文字によって後世に残すという意義のある仕事を、ほんのさわりだけとはいえ体験できたことは、私にとっても貴重な経験となりました。


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