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臨時特急「ヌプリ」乗車の思い出 [その他鉄道ネタいろいろ]

こんばんは、gonanaです。
2030年に予定されている北海道新幹線の札幌延伸により「並行在来線」となり鉄道としては廃止される方針となってしまっているJR北海道の函館本線小樽ー長万部間、いわゆる「山線」。
今ではわずかな本数の普通列車が走るだけのこの区間も、かつてはC62形SLの重連で有名になった急行「ニセコ」やキハ80系の特急「北海」なども走った幹線でした。
そして、そんな函館本線山線区間にここ数年、9月の土休日を中心に臨時特急「ニセコ」が運転されています。(列車自体の運転区間は函館ー札幌間)
先日、いつものようにネットで鉄道関連の記事をチェックしていたら、その臨時特急「ニセコ」に関する記事が出ていました。

特急ニセコ号乗車で見えた「並行在来線」再活用の重要性 安易な鉄道廃止は地域の努力を無駄にする(鉄道乗蔵) - エキスパート - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ce89f85729acbb17427cacc569638a4eee465a42

いわゆる「観光列車」のような豪華で非日常間のある列車とは違うけれど、停車駅での名産品の販売などの「おもてなし」にあふれたたのしい列車が「ニセコ」であることがよくわかります。
実は、おそらくこの「ニセコ」の原型ともいえる列車が、2012年の夏休みから走り始めたキハ183系の臨時特急「ヌプリ」号でした。
「ヌプリ」は運転区間も「山線」経由であることも、さらに途中駅での名産品販売などのための長時間停車を挟みながらの行程であることなど、現在の「ニセコ」と共通する部分の多い列車でした。
この列車が好評だったのか、その後列車名を「山線」経由の優等列車ではなじみ深い「ニセコ」に変更したり、使用車両も行く旅か変更されながら今でも運転が続けられているというわけです。
私はその、2012年に運転開始した直後の「ヌプリ」に乗車していますので、今回はその思い出をつづりたいと思います。

2012年8月10日、北海道での鉄道旅の4日目だったこの日は、函館駅近くのホテルを朝にチェックアウトし、まずは函館市電の撮り鉄や乗り鉄を少ししてから函館駅へ。
そしてここから乗車するのが、この年夏の臨時列車として4日前の6日から運転を開始したばかりの札幌行臨時特急「ヌプリ」でした。
この列車の特徴は、運転区間のうち長万部―札幌間を、「スーパー北斗」など他の特急・急行の室蘭本線経由(東室蘭・苫小牧経由)ではなく函館本線のいわゆる「山線」経由(倶知安・小樽経由)で運転すること。
愛称こそ異なるものの、運転経路だけならかつて定期運転されていた特急「北海」のリバイバルともいえる列車でした。
ちょうど北海道への鉄道旅を計画したタイミングでこの列車の運転が発表されたので、その時点でまだ乗車経験のない函館「山線」の踏破もできて一石二鳥とばかり乗車することにしました。
ちなみに愛称の「ヌプリ」とはアイヌ語で「山」を意味する言葉で、沿線にそびえる羊蹄山や駒ケ岳に由来して名付けられたそうです。

「ヌプリ」の列車別改札が始まりホームへ出ると、すでにスラントノーズ形前頭のキハ183形を両先頭に連結したキハ183系4両編成がすでに入線していて、これが「ヌプリ」になります。
スラントノーズのキハ183形を生で見るのも久しぶりで、欲を言えば国鉄特急色リバイバル塗装車だったらもっと感激しただろうに…などとついつい贅沢な考えが頭をよぎりました。
側面の行先幕や前面愛称幕の絵入りヘッドマークも、「臨時」幕ではなく専用のものがちゃんと用意されていて、久しぶりに設定された山線経由の特急列車に対する力の入れようが感じられました。
またホームの発車案内にはしっかりと「ヌプリ」の列車名と「小樽経由」の文字が表示され、駅や車内の案内放送でも「ヌプリ」が東室蘭・苫小牧・南千歳等を経由しないことが繰り返し案内され、「スーパー北斗」「北斗」との誤乗防止に気を配っていることがうかがえました。
こんなところからも、函館―札幌間の鉄道利用では室蘭線経由が当たり前になっている事実を実感させられました。

「ヌプリ」は11:43、函館駅を定刻に発車。
この列車は臨時列車であるためか、特急でありながらかなりゆったりしたダイヤが組まれており、例えば函館―長万部間では当時「スーパー北斗」「北斗」なら1時間10分台、客車列車の「北斗星」「はまなす」等でさえ1時間40分台で走るにもかかわらず、「ヌプリ」はなんとこの間を2時間10分もかけて結んでいました。
その背景として、時間調整や単線区間での交換待ちのため途中の主要停車駅のほとんどではニセコ駅の30分を最長に、比較的まとまった停車時間がとられていることがあります。
そのため、乗車しているとまるで長距離ドン行の旅を楽しんでいるかのような気分を味わうこともできました。
車内では車掌による通常の車内放送とは別に、女性乗務員による車窓などの案内もあったほか、長万部からの山線区間の停車駅のホームでは、停車時間を利用して地元の方々による名産品の販売が行われたりと、単なる都市間移動のための列車というより観光列車的要素も盛り込んだ列車という感じでした。
私も停車時間にはホームに降りてみたり、函館駅で購入した駅弁を食べたり、ちょっと居眠りしたりして、乗っていてなかなか楽しめる列車でした。

18:29、「ヌプリ」は終着の札幌駅に定刻到着。
乗車した4号車(自由席)に限れば函館から札幌まで、ほぼ全区間を通して乗車率はそう悪くはない感じでした。
単純に函館―札幌間の所要時間だけで比較すれば、「スーパー北斗」「北斗」の倍以上の時間はかかるものの、乗車してみての印象としてはGWから初秋あたりにかけての多客期なら「ヌプリ」のような列車にも意外に存在価値はあると感じたものでした。

先ほども書いた通り「ヌプリ」は翌年以降も運転期間や使用車両を何度か変えながら数年間運転され、その後列車名を「ニセコ」に変更して今も9月を中心に運転が続いています。
リンク記事にもあるように今でも「ニセコ」運転時は「山線」の各停車駅や社内でも様々なイベントが行われてかなりの盛り上がりを見せているようで、大々的にPRされたりマスコミに取り上げられたりはしないものの観光列車的要素の強い列車として一定の存在感を示しているように感じられます。
昨今のバスドライバーの不足もあり、小樽ー長万部間がそのまま鉄道廃止→バス転換となるのか不透明な部分がありますが、個人的にはできれば山線区間、あるいは長万部以南の区間の旅客営業も廃止することなく、地域輸送もしつつ
「ニセコ」のような観光列車的な要素を持ちつつ気軽に乗車できる「山線」経由の観光特急列車を走らせるようなことも考えてほしいものです。
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